2014年04月10日 00:02

原題は邦訳すると"家庭の中"で、昨年のフランス映画祭で公開の際は「In the House」の英題がついていたのだが、一般公開時に邦題が変わった。なんで、こんな、デヴィッド・クローネンバーグの「危険なメソッド」を彷彿とさせる邦題にしたんだろう。
美少年に翻弄される中年男の物語と聞くと、何やらヴィスコンティの「ベニスに死す」を思い浮かべてしまうが、あの作品のような悲壮さは無い。こちらは元々は舞台劇が原作で、ウディ・アレンの軽妙なドラマに近く、これは主人公のファブリス・ルキー演じる国語教師がアレンっぽい事もあるし、作中でアレンの傑作「マッチポイント」を映画館で鑑賞するシーンも登場するので、あぁオゾンってアレンの作品が好きなんだなぁ…と判る。
「ベニスに死す」の主人公は作家だったが、こちらの主人公は作家になりそこなった国語教師。生徒に提出させた作文を読んでいて一人の生徒の作品に興味を持つところから物語がはじまる。
この生徒が「ベニスに死す」のビョルン・アンドレセンっぽい美男。
提出した物語に興味を持った教師は生徒に<続き>を書かせるのだが、この物語が現実の描写なのか、妄想なのか判然とせず、やがて教師とその妻を巻き込んで、現実と妄想が侵食しだす。
映画的に面白いのは、このリアルとフィクションの入れ子構造の部分だけなのが惜しい。作品としては構造的に近い「スイミング・プール」には及ばなかった、残念。
◎『危険なプロット』日本語オフィシャルサイトと予告編はこちら。
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