ブライアン・デ・パルマ『パッション』鑑賞 / 雑感

2013年10月08日 00:13

ブライアン・デ・パルマ監督の新作にして、2002年の「ファム・ファタール」以来のオリジナル・ミステリー作品『パッション』
オリジナルと言っても、2010年のフランス映画「ラブ・クライム 偽りの愛に溺れて」のリメイクである事は本サイトでも、ここここで紹介済みなので参照頂きたいが、久しぶりのデ・パルマ節が堪能出来るはずと期待して、早々の劇場鑑賞となった事は言うまでもない。

で、感想から先に言えば、その久方ぶりのデ・パルマ節を堪能出来たのは、後半のみだったけど、まぁまぁ、満足している。
前半は、元ネタの「ラブ・クライム 偽りの愛に溺れて」を観ている人間には、大きな変更が無く、やや印象が悪いが、撮影がペドロ・アルモドバル監督の「私が、生きる肌」でも鮮烈な映像美を見せたホセ・ルイス・アルカイネなので、退屈はしないが…。

後半の展開は、オリジナルの細部を変更して、デ・パルマ調が炸裂する。自身の過去の作品から、カット&ペーストで散り嵌めたようなシーンの積み重ねで、監督の健在ぶりをみせつける。
長廻し撮影、分割画面、夢か現実か判然としない画面、鏡に映り込む映像、如何にもな小道具の数々…。
この、80年代の「殺しのドレス」「ミッドナイトクロス」「ボディ・ダブル」でファンを魅了したデ・パルマ・タッチを堪能するには、クライマックス迄、我慢する必要があるのが難点と言えば難点だが、デ・パルマファンには、それも減点たりえないだろう(一般のミステリー映画ファンには多分不満が残るのではないか)。

同年代に活躍して、デ・パルマの年下にあたるジョン・カーペンターの「ザ・ウォード/監禁病棟」が、カーペンター老いたりの感が否めなかった事に比べれば、ブライアン・デ・パルマ健在を示した本編はファンにとっては必見の作品となっていた。

『パッション』日本語オフィシャルサイトと予告編はこちら


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