『アルゴ』『ゼロ・ダーク・サーティ』鑑賞・雑感

2013年03月05日 00:14

中東とアメリカの関係を題材にし、どちらもアカデミー賞にノミネートされた二本の作品のレビューを…。

『アルゴ』(原題:Argo)  ◎日本語オフィシャルサイト

昨年10月に日本公開されたが、今回のアカデミー作品賞・脚色賞・編集賞の受賞で再度劇場公開されたベン・アフレック監督作品(来週3月13日にBD&DVDが発売される)。内容については昨年8月にこちらで紹介済みなので参照頂きたい。

1979年、イランの米大使館がイスラム過激派に占拠されるというオープニングから物語は史実に則って展開するため、派手な銃撃戦やアクションシーンは無い、ストーリーは実に淡々と進行するが、終盤の飛行場でのシーンで緊張感がピークになる。
結果が判っていながら、このサスペンス感溢れるラストの畳み掛けは見事で、さすがアカデミー編集賞を取ったのも頷ける。

70年代の人々のファッション、ヘアスタイル、道具類が忠実に再現され、何よりも、作品自体が、70年代のアメリカ映画をリスペクトしていて悪くない。
「猿の惑星」の特殊メイクアップ・アーティスト、ジョン・チェンバースを演じるジョン・グッドマンが登場した時は思わず笑ってしまった。その他にもアラン・アーキン等の大物俳優が演じるハリウッド人種達が実にいい雰囲気を出している。
その頃のハリウッド映画がお好きなら是非とお勧めの作品。勿論オープニングのワーナー・ブラザースのロゴが昔のデザインなのもお見逃しなく。

『ゼロ・ダーク・サーティ』(原題:Zero Dark Thirty)  ◎日本語オフィシャルサイト

「ハート・ロッカー」でアカデミー賞6部門を受賞したキャスリン・ビグロー監督作品。今回は同賞にノミネートはされたが受賞は逸した。
確かに、前作「ハート・ロッカー」はアカデミー6部門を制覇し、元旦那を差し置いて女性初の監督賞も受賞したほどの迫力ある戦争アクション・ドラマではあったが、今回は前作の成功の影響下で企画された二番煎じの印象を否めないし、題材自体のチョイスに何やらスキャンダラスな狙いが感じられてならない。関係者への徹底した取材も、その正当性を疑問視され、そこら辺りが受賞を逃した理由だとは思わないが…。

正直言って、ビン・ラディンの潜伏地を探し出した後は迫力ある画面が続くが、それまでは退屈だ。映画を観ているというよりは、大金と時間を掛けたTVの再現ドラマを観せられている感が消えない。それでいて、ラストで主人公に涙を流させるシーンが入る為、ドキュメンタリー風の構成に徹しながら違和感が残る。

実話の映画化という同じスタンスながら『アルゴ』が、面白いのは作り手の想像力が加味された娯楽サスペンスなのに対し、『ゼロ・ダーク・サーティ』は、映画としては完成されていないように思えてしまう。
…結局、私はキャスリン・ビグローという女流監督が余り好きではないらしい。


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