14年振りの原尞、沢崎シリーズ最新作「それまでの明日」

2018年03月07日 19:45


1988年発表の原尞氏の正統派ハードボイルド小説、私立探偵、沢崎シリーズの第一作「そして夜は甦る」から、長編4作、短編集1作の計5作品を発表後、14年振りとなる新作が3月1日に発売された。‥シリーズとは言え、前作の「愚か者死すべし」の発表に9年間のブランクがあったので、もう新作は出ないものと諦めていたファンとしては、この出版は望外の喜びだった。

30年の作家生活で、この発表数は本人も「われながら困惑するほどの遅筆」と言っているが、今回の新作発表で、根強いファンの多さが確認され、ご同慶の至りである。
レイモンド・チャンドラーの作品に影響を強く受けた文体。執筆前はジャズ・ピアニストだった事から、物語の通底に常にジャズが流れている感覚が漂い、日本のハードボイルド小説作家として貴重な存在と言える。

で、読了後…、う~む、帯の惹句に書かれた"チャンドラーの『長いお別れ』に比肩する渾身の一作"は、ちと持ち上げすぎの感、無きにしも非ずだが、久しぶりの探偵沢崎との再会を楽しませてもらった。
「長いお別れ」或いは「ロング・グッドバイ」を引き合いに出すと、どうしても今回の話は、小さく纏まり過ぎている感あり。

未だにスマホはおろか、携帯も持たず、インターネットもせず、世の中の嫌煙ブームを嫌うがごとく、ひたすら喫煙シーンがある。まさに時代が変わっても変わらない男、沢崎であるが、小説内でも相変わらず、下の名前は明かされていない。
次回あたりで多少は変わるのかとは思うが、また10年近く待たされる事のないように願っておく。


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