前回から『さらば愛しき女よ』の話へ続く…。

2012年11月29日 00:13

前回の続きの話になる。日本公開名『ジャッキー・コーガン』(原題:Killing Them Softly)の原作者はジョージ V.ヒギンズという米のクライム・ノベルの作家なのだが、我が国では小説家としてほとんど知られていない。
なにせ、「Killing Them Softly」自体、邦訳が出ていないし、邦訳があるのはハヤカワ文庫「エディ・コイルの友人たち」と扶桑社ミステリー「笑って騙せ」の二作品のみで、どちらも絶版状態。

「エディ・コイルの友人たち」は1973年に「ブリット」を撮ったピーター・イエーツの監督で映画化されている。主演はロバート・ミッチャム、日本では未公開。但し、「狼のシンジケート/ダーティ・エディ」の題名でTV放映された事があるらしい。フイルム・ノワールとしての評判はいいのだが、当方も含めて圧倒的に観た人が少ない作品で、2009年にクライテリオン・コレクションからDVDが発売されたらしいが、勿論、日本語版のDVDも出ていない、残念。

クライテリオン・コレクションの「エディ・コイルの友人たち」紹介ページはこちら

…で、ロバート・ミッチャム主演で、DVDが出ていないフイルム・ノワールの傑作と言えば、『さらば愛しき女よ』(原題:Farewell, My Lovely)だろう。

レイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説、フィリップ・マーロウを主人公とする長編シリーズの第2作目。2009年に村上春樹訳で早川書房から『さよなら、愛しい人』とタイトルを変更して発売されたが、何ともダンディズムの香りとハードボイルドの心を欠いた改題に、改めて読む気も失せた記憶がある。

映画は、冒頭のタイトルバックから、咥え煙草で雨上がりのロスの街を見下ろすマーロウのショット、これに被さる気怠いジャズで、観る者を舞台の1940年代のLAに引きずり込む素晴らしいファーストシーンがあり、シャーロット・ランプリングのミステリアスな悪女ぶりも素晴らしく、ウェットな雰囲気に終始するハードボイルド映画の傑作だった
チンピラ役でシルベスター・スタローンが一瞬登場するシーンもあり、ムース・マロイのキャラも忘れがたく、気怠く洒落た、個人的にお気に入りの映画の一本だった。

残念な事に(最初に言ったように)、この作品、DVDが発売されていない。上記のクライテリオン辺りが出してもよさそうなものだが、何処もDVD化していない。
DVD化を待ち望んでいるファンも多い、フィリップ・マーロウのイメージはロバート・ミッチャム以外無いし、シャーロット・ランプリングの最高傑作は『さらば愛しき女よ』だと思っているのは当方だけではないと思うんだが…。


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