DVD 『婚約者の友人』 鑑賞/雑感

2018年05月25日 00:00

フランソワ・オゾンの監督作品を観始めたのは「8人の女たち」「スイミング・プール」あたりからだが、必ずしも日本での公開作を全て観ている訳では無く、ミステリーっぽい作品しか鑑賞していない、
で、『婚約者の友人』(原題:Frantz)だが、これはミステリードラマではあるが、そう決めつけてしまうに事を躊躇する類いの作品だった。

確かにミステリー調の謎が仕掛けられてはいるが、これは、主人公の女性の心の遍歴を丁寧に追った恋愛ドラマなのだ。
これ、オゾンのオリジナルではなく、モウリス・ロスタンの舞台劇を原案としたエルンスト・ルビッチ監督作「私の殺した男」が元になっている、

第一次世界大戦後のドイツ、婚約者を戦争で亡くした女性のもとに、友人だったという男性が現れる。彼はフランス人で、彼女と友人と名乗る男性は徐々に距離を縮めていくが、やがて男性の秘密が明かされる。

この秘密がミステリードラマ調で展開されるのだが、元となったエルンスト・ルビッチの作品を知っていると、前半の展開はミステリーの要素の印象は薄く、むしろ、オゾンらしい解釈となる後半の物語のほうが、二人の関係の顛末に興味がわくように作られている。

基本、全編モノクロームの映像なのだが、途中、数回、画面がカラーに変わる。
この変化は、明確な意図を持っての演出ではなく、主演の女性の心の変化を表しているように見える。
…ともあれ、モノクロームの深く美しい画面に酔える作品で、古典映画を観ている感覚になれる作品だった。

『婚約者の友人』日本語オフィシャルサイト

日本公開予定作品『犬ヶ島』『男と女、モントーク岬で』『ファントム・スレッド』

2018年05月18日 00:09

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『犬ヶ島』(原題:Isle of Dogs)  5月25日(金)TOHOシネマズ シャンテ他。
「グランド・ブダペスト・ホテル」のウェス・アンダーソン監督による「ファンタスティック Mr.FOX」以来のストップモーション・アニメーション映画。
日本の架空都市メガ崎市で、犬の伝染病“犬インフルエンザ”が蔓延、人間への感染を危惧した市長は犬達をゴミの島へ隔離し、市長の養子で孤児のアタリは飼い犬スポッツを探しにゴミの島へと向かう。声優陣にはビル・マーレイ、エドワード・ノートン、スカーレット・ヨハンソン等が出演。
『犬ヶ島』日本語オフィシャルサイト

『男と女、モントーク岬で』(原題:Return to Montauk)  5月26日(土)新宿武蔵野館他。
「ブリキの太鼓」のフォルカー・シュレンドルフによる大人のラブストーリー。…作家のマックスは、新作のプロモーションのためにニューヨークを訪れる、実らなかった恋の思い出を綴った小説を携え、かつての恋人と再会を果たすが、別れてから何があったのか彼女は何ひとつ語ろうとしなかった。失意でニューヨークを離れる3日前に彼女から連絡が入り、モントーク岬への旅に誘われる。
『男と女、モントーク岬で』日本語オフィシャルサイト

『ファントム・スレッド』(原題:Phantom Thread)  シネスイッチ銀座他 5月26日(土)。
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のポール・トーマス・アンダーソン監督がダニエル・デイ=ルイスと再タッグを組んだ作品。
1950年代、ロンドン。英国ファッションの中心に君臨し、社交界から脚光を浴びる天才的な仕立て屋のレイノルズはウェイトレスのアルマと出会い、彼女を新たなミューズとしてファッションの世界へと迎え入れるが‥。
なお、ダニエル・デイ=ルイスは本作品で俳優業から引退することを表明している。
『ファントム・スレッド』日本語オフィシャルサイト

DVD 『ノクターナル・アニマルズ 夜の獣たち』 鑑賞/雑感

2018年05月15日 00:06

2009年に「シングルマン」という作品で映画監督デビューをしたファッションデザイナーのトム・フォードの二作目の映画監督作品、『ノクターナル・アニマルズ 夜の獣たち』(原題:Nocturnal Animals)。

「シングルマン」ってコリン・ファースが出ていたらしいが、ファッションデザイナーが撮り、東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で上映された作品なんで、当然の事ながら未見。
…で、なんで、これは観る気になったかと言うと、原作がハヤカワ・ポケット・ミステリから邦訳が出ていたオースティン・ライトの「ミステリ原稿」だったから。

この作品、映画に合わせて昨年ハヤカワ文庫から「ノクターナル・アニマルズ」として再版されている。
…離婚後、20年もたった頃、平凡な主婦の元に、前夫がショッキングな内容の小説原稿を送りつけてきた、その真意は何か、という内容で、作中を「夜の獣たち」という小説が占める、メタ・ミステリー。
主演の主婦役をエイミー・アダムスが、元夫役をジェイク・ギレンホールが演じている。

この作中作の小説を元妻に送りつけた前夫の思惑を、物語の展開に合わせて観客が推理するように作られているのだが、その理由をはっきり提示せずに映画は終わる。
推理を観客に委ねるエンディングが賛否の分かれるところだが、悪くない作りだ。

兎も角、冒頭から最後まで、計算され尽くした映像で構成されたスタイリッシュな、心理ミステリーであり、メロドラマであり、悪夢の物語で、お勧めはするが、万人向けのミステリーとは言い難いのでご注意。

『ノクターナル・アニマルズ 夜の獣たち』日本語オフィシャルサイト

DVD 『フラットライナーズ』 鑑賞/雑感

2018年05月11日 01:25

1990年に制作され、翌年に日本公開された同名の作品のリメイク、『フラットライナーズ』(原題:Flatliners)。

オリジナル版は監督がジョエル・シュマッカーで、出演陣がキーファー・サザーランド、ジュリア・ロバーツ、ケビン・ベーコン、ウィリアム・ボールドウィンという、今からみるとスタッフもキャストも豪華な顔触れだったが、当時の観賞記憶を探っても、それほど記憶に残っていない作品。
死後の世界を探る医学サスペンスと言う触れ込みに、SF的な興味を持ったら、宗教的な結末に期待を外された覚えがある。

で、今回の作品、監督は「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」のニールス・アルデン・オプレブ。出演はエレン・ペイジ、ディエゴ・ルナ等。加えてオリジナル版で医学生役だったキーファー・サザーランドが教授役で出演している。
何で今頃、リメイク? と思ったら、ホラーティストで仕上げて来た。

無理矢理、臨死体験後に背負っていた罪が…、という展開は前作と同様だが、先ずは脳が活性、能力開花して、超人化、という初期症状が現れる為、仲間内の医学生が、俺も、私も、となり、一人を除いて4人が、臨死実験。

結局、4人は過去のトラウマからの具現化した悪夢と向き合う事になるのだが、ここら辺りの恐怖描写が微妙なのが勿体ない。
ホラー描写が、体験者の幻覚の範囲内を超えてしまう場面がいくつかあり、中途半端なのが惜しまれる。…罪の意識がみせた心霊現象でまとめてもらえれば良かったが、怖がらせる為に、体験者の意識の外にも、ホラー現象を描いてしまったので、普通のB級ホラー映画になってしまった。

『フラットライナーズ』日本語オフィシャルサイト

DVD 『ジャングル ギンズバーグ19日間の軌跡』 鑑賞/雑感

2018年05月08日 00:00

ヨッシー・ギンズバーグという冒険家が、バックパッカーの青年時代にボリビアのアマゾンでの遭難体験を描いた「JUNGLE」というノン・フィクションの著作が原作らしいが邦訳はされていない。
これをダニエル・ラドクリフが主演、「マンイーター」なる人食いワニの映画を撮ったグレッグ・マクリーンが監督で、映画化した作品 『ジャングル ギンズバーグ19日間の軌跡』(原題:Jungle)。

もはや「ハリー・ポッター」のという前置きは不要になりつつあるダニエル・ラドクリフ。…「スイス・アーミー・マン」では、全編死体役に挑戦したと思ったら、今度はジャングルで遭難し、泥まみれ、満身創痍、精神に異常をきたし始め、映画の最後では、登場時と同じ人間と思えない姿に成り果てる役どころである。

この作品、今年の「未体験ゾーンの映画たち」での上映作品だし、加えて監督の過去作品から推測すると、B級感横溢のイメージがあったが、悪くない出来で、実話に基づくサバイバルドラマという枷が効いていたようだ。

後日、本人が体験を記しているので、助かる事は判っていて、サスペンス感はないのだが、強烈な体験シーンのグロい描写があったりして驚く。

ジャングルで一時的な眠りに落ちると見る夢が、最初はユーモラスな面もあるが、徐々に幻覚を見始め、精神が崩壊していく展開の描写が、映像的に面白く、最後まで飽きずに観る事ができる。

『ジャングル ギンズバーグ19日間の軌跡』予告編(YouTube)。


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