DVD 『クリミナル 2人の記憶を持つ男』 鑑賞/雑感

2017年07月27日 00:41

監督が「THE ICEMAN 氷の処刑人」のアリエル・ブロメンで、主演が久し振りのケビン・コスナー、それほど食指の動くコンビとは言い難いが、共演陣がゲイリー・オールドマン、トミー・リー・ジョーンズ、ライアン・レイノルズと彼等に加えて「ワンダーウーマン」のガル・ガドットも顔を揃えているスパイ・アクションなので鑑賞、『クリミナル 2人の記憶を持つ男』(原題:Criminal)。

亡くなったCIAエージェントの記憶を脳に移植された囚人が、記憶が消えるまでの48時間のタイムリミット中に、テロリストを追う姿を描く、この囚人、凶悪犯で死刑囚というケビン・コスナーにしては従来の役どころとは異色の設定になっている。

物語が予定調和的ではあるが、結構面白い。シナリオが頑張っていて、中弛みせずにストーリーが展開するので、飽きずに観られる。
ケビン・コスナーも老けたが、幼児期の頭の怪我により前頭葉の発達が止まり、善悪の判断が出来ない状態の、極悪且つゲス人間として登場する設定が新鮮。

…まぁ、この未発達の前頭葉に死者の記憶を植え付け、その記憶を取り出そうとするが、その記憶は48時間前後で消えてなくなる筈が、徐々に死者の記憶が復活し、感情まで支配し始める、と言うトンデモ設定なんだが、そこはSF映画ではなく、スパイ・サスペンスものなので、突っ込まないでとばかりに、銃撃やらカー・アクションシーンを矢継ぎ早に繰り出す作戦が功を奏して、終盤まで緊張感が途切れない。

それにしても、このハッピーエンドな結末に、納得するか、否か、が問題で、観客の評価が分かれる部分ではある。

『クリミナル 2人の記憶を持つ男』日本語オフィシャルサイト

日本公開予定作品『パターソン』『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』『アメイジング・ジャーニー 神の小屋より』

2017年07月25日 00:05

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『パターソン』(原題:Paterson)  8月26日(土)新宿武蔵野館他。
ジム・ジャームッシュ監督が昨年製作した作品、主演は「スター・ウォーズ」シリーズのアダム・ドライバー。永瀬正敏が日本からやって来た詩人として登場する。
ニュージャージー州パターソン市で暮らす、主人公のバス運転手パターソンの何気ない日常を切り取った人間ドラマ。
『パターソン』日本語オフィシャルサイト

『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』(原題:A Street Cat Named Bob)  8月26日(土)新宿ピカデリー他。
辰巳出版から邦訳も出ている、ジェームズ・ボーエンのノンフィクションで世界的ベストセラーとなった「ボブという名のストリート・キャット」を「007 トゥモロー・ネバー・ダイ」のロジャー・スポティスウッド監督が映画化。
ホームレス同然のストリートミュージシャンが、一匹の野良猫との出会いによって再生していく物語で、主人公のストリートミュージシャン役を「タイタンの戦い」のルーク・トレッダウェイが演じ、なんと猫のボブ役には実際のボブが出演している。
『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』日本語オフィシャルサイト

『アメイジング・ジャーニー 神の小屋より』(原題:The Shack)  9月9日(土)新宿バルト9他。
「神の小屋」として邦訳も出ているウィリアム・ポール・ヤングのベストセラー小説をサム・ワーシントン主演で映画化した人間ドラマ。監督は「エグザム」でデビューしたスチュアート・ヘイゼルダイン。
愛娘を失い失意の底にいた男の人生が、男を救おうと現れた不思議な男女3人との出会いを通じて思わぬ方向へと向かう姿を描く。
『アメイジング・ジャーニー 神の小屋より』日本語オフィシャルサイト

DVD 『キングコング 髑髏島の巨神』 鑑賞/雑感

2017年07月22日 00:01

1933年のRKO製作のフェイ・レイ主演による初期の「キング・コング」から80数年、何度もリメイクが試みられ、東宝の亜流も含めると、数多くの作品が作られてきた、お馴染みの怪獣シリーズの最新版、『キングコング 髑髏島の巨神』(原題:Kong: Skull Island)。

メリアン・C・クーパーとアーネスト・B・シェードザック監督の初期版から、1976年のジョン・ギラーミン監督のリメイク版では時代が現代に設定され、コングが登ったビルは、今は無い世界貿易センタービルだった、…その後、2005年のピーター・ジャクソン監督作品では、時代設定がオリジナルの1930年代に戻されている。

今回はジョーダン・ヴォート=ロバーツなる殆ど新人の監督を起用して製作された作品で、大丈夫か?と思ったが、その後、可成りな映画オタクと判ったのだが、公開された予告編を観て唖然とした。‥これ「地獄の黙示録」じゃん。

という事で懸念しつつ鑑賞した訳だが、やはり怪獣映画というよりは半分戦争映画だった。冒頭、島に上陸早々、ヘリ対コングのバトルが展開されると、突っ込みどころ満載で、わざわざ、コングの至近距離に寄るヘリっては何なのさ。

…で、コングはヘリは嫌いだけど、人間は好きらしいと判る後半の無理矢理、とってつけた感が強引でしょう(一応、掌の中の美女を見つめるお馴染みのシーンもあるんだけどね)。

同じオタク系の映画監督でもピーター・ジャクソン版は良かったなぁ..と思える。その程度でした。
うーん、この後に続く東宝の怪獣シリーズとリンクする設定が不安だ。

『キングコング 髑髏島の巨神』日本語オフィシャルサイト

DVD『ヒトラーの忘れもの』 鑑賞/雑感

2017年07月20日 00:01

2015年の第28回東京国際映画祭コンペティション部門で「地雷と少年兵」の題名で上映された歴史ドラマ作品、『ヒトラーの忘れもの』(原題:Under sandet)。

実話でありながら、デンマーク国内でも余り知られていなかった物語をデンマークとドイツの合作で製作。…東京国際映画祭では軍曹役のローラン・モラーと少年兵役のルイス・ホフマンが最優秀男優賞を受賞し、デンマークでも幾つかの賞を受賞している。脚本、監督はマーチン・サントフリート。

ドイツが降伏した後の1945年、デンマークの海岸にドイツ軍が埋めた地雷を撤去するため、ドイツ兵の捕虜が投入される。彼等は、まだ幼さの残る10代の少年兵たちで、作業を監督するデンマーク軍の軍曹は、彼等をこき使おうとするが、撤去作業の失敗や誤爆で少年兵たちは次々と命を落としていく…。

戦争中デンマークの海岸にドイツ軍が埋めた地雷が200万個に及ぶという数に唖然とするが、この撤去作業を、終戦後にドイツ少年兵達に強制させたという史実に基づいた残酷な現実が、緊迫感を持って描かれる。
兎も角、この話は、重く、悲しく、残酷で、救いのない物語ではあるが、映画としては緊張感が一時も切れない傑作で、見応えが半端なく、最後まで目が離せない。

余談だが、最近、"ヒトラー"の付く邦題がやたら多い、その原題の殆どには"ヒトラー"が付いてはいない。…まぁ、確かに無関係ではないにしろ、日本の映画配給会社の安易な邦題の設定は如何なものか。
ここのところの"ヒトラー"ブランドの邦題の多さに、いささか嫌気がさしている今日この頃なんだが‥。

『ヒトラーの忘れもの』日本語オフィシャルサイト

DVD 『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』 鑑賞/雑感

2017年07月18日 00:07

日本では昨年末、劇場公開された軍事サスペンス、『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』(原題:Eye in the Sky)。
監督は「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」のギャビン・フッド、主演はヘレン・ミレン、共演に昨年亡くなったアラン・リックマンが参加し、コリン・ファースが製作にのみ加わっている。

イギリス軍の諜報機関の女性大佐が国防相の中将と協力し、ナイロビ上空を飛ぶドローンを駆使してロンドンから英米合同軍事作戦を指揮している中、大規模な自爆テロ計画の存在を突き止める。
アメリカ国内の米軍基地にいるドローン・パイロットに攻撃命令を下すが、殺傷圏内に幼い少女がいることが判明する‥。

原題は"空の眼"だけだが、その後に加えた邦題は、皮肉ととれる程、凄まじい緊張感に画面に釘付けになる。
自爆テロを実行せんとする標的を発見し、その隠れ家を爆撃しようとした時、家の前にパンを売る少女が現れる、これから起こるであろう大量の犠牲者の為に、少女を見殺しにするか、否か…。
映画の中盤から後半は、ひたすら、この議論の場の描写のみになるのだが、この緊迫感の盛り上げ方が見事で圧倒される。

登場するドローンは、上空からピンポイントで爆撃可能な無人航空機から、鳥型や昆虫型のカメラ・アイ搭載型まで出てくるが、恐いのは、上空からの視点が、決して"神の眼"ではない事だ。

この計算され尽くしたジレンマのドラマの凄さは、是非ご覧頂きたい傑作。

『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』日本語オフィシャルサイト


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