DVD 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』 鑑賞/雑感

2020年01月16日 08:12

クエンティン・タランティーノ監督が1960年代後半のハリウッドを舞台に、シャロン・テート事件を絡ませて、ハリウッドの光と闇を描いた作品、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(原題:Once Upon a Time... in Hollywood)。

主演はブラッド・ピットとレオナルド・ディカプリオ。ブラッド・ピットは前回紹介の「アド・アストラ」の前に出演していた作品。彼等の役は、落ち目の俳優とそのスタントマンという設定。その他の出演者に、マーゴット・ロビー、ダコタ・ファニング、アル・パチーノ、カート・ラッセル等が揃う。

ハリウッドの黄金時代と言われる60年代後半を描いているのだが、当時を知るオールド映画ファンにとっては、懐かしさのつるべ打ち状態で、風景、車、音楽、ファッション、映画作品、俳優達と、作り上げられた舞台の元ネタを知らないと、話が長くて退屈と言う意見もあるが、まぁそういう御仁は置いといて。

個人的な事を申せば、描かれている時代は、モロ当方は映画にのめり込み始めた時期で、ロマン・ポランスキーが「吸血鬼」でシャロン・テートを起用し(今、思うと彼女が一番キレイ且つ魅力的に撮られている作品)、その後二人が結婚し、ポランスキーがハリウッドで「ローズマリーの赤ちゃん」を撮り、その後に起きた凄惨な事件をニュースで知る事になる。

‥で、何でタランティーノが、あの事件を素材として、取り上げたのか少々疑問だったのだが、映画のラストに至って、納得し、感動さえしてしまった。

成る程、これは「イングロリアス・バスターズ」と同様の歴史改変モノだった。
それも極めて映画愛に満ちたタランティーノの企みが素晴らしい。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』日本語オフィシャルサイト

DVD 『アド・アストラ』 鑑賞/雑感

2020年01月13日 09:47

脚本と監督が「エヴァの告白」のジェームズ・グレイ、作品は多くはないが、必ず自身の脚本で作品を撮っている監督で、各映画祭での受賞も多い。製作を兼ねて主演したのがブラッド・ピット、共演にトミー・リー・ジョーンズ、リブ・タイラー、ドナルド・サザーランド等、『アド・アストラ』(原題Ad Astra)。

主人公が宇宙飛行士のSF作品で、衝撃のスペース・アクション大作と謳われているが、むしろアクションは少なめで、思索的で静かな雰囲気のSF作品となっている。

地球外知的生命体の探求に赴き、太陽系の遥か彼方で消息不明となった父親の息子が、自身も宇宙飛行士となって、父親の探索に任命される。
この父親、太陽系を滅ぼしかねない計画に関わっているとして、その抹殺をも任命される。

雰囲気としては「2001年宇宙の旅」「ゼロ・グラビティ」「インターステラー」等を混ぜ合わせて、静謐に仕上げた感覚で、これに「地獄の黙示録」的な任務遂行の物語が絡む。
但し、残念ながら、父親が関わった"リマ計画"なるものが詳しく語られず、彼が何故、辺境の海王星で孤高な反逆者になったのかが、詳しく語られていず、その点に不満が残る。

宇宙を舞台にしたヒューマンドラマとして、画面の美しさや、真面目な作りを堪能する作品として観れば、そこそこ満足出来る作品ではあるが…。

『アド・アストラ』日本語オフィシャルサイト

日本公開『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』『リチャード・ジュエル』『盗まれたカラヴァッジョ』

2020年01月09日 07:29

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『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』(原題:The Aeronau)  1月17日(金)シネマカリテ他。
エディ・レッドメインとフェリシティ・ジョーンズが「博士と彼女のセオリー」以来再共演した実話ベースのアドベンチャードラマで、監督はトム・ハーパー。
1862年イギリス、酸素ボンベ無しで気球に乗って、高度11277mまで上昇したジェームズ・グレーシャーと自由奔放な女性気球操縦士アメリアの冒険物語。
『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』日本語オフィシャルサイト

『リチャード・ジュエル』(原題:Richard Jewell)  1月17日(金)新宿ピカデリー他。
クリント・イーストウッド監督の「運び屋」に続く最新作で、1996年のアトランタ爆破テロ事件の真実を描いたサスペンスドラマ。
爆破物を発見し、数千人の命を救ったのに、自分が容疑者にされた世界一不幸な警備員と、世界一無謀な弁護士が巨大権力に挑む物語。主人公にポール・ウォルター・ハウザー、弁護士役をサム・ロックウェルが演じる。
『リチャード・ジュエル』日本語オフィシャルサイト

『盗まれたカラヴァッジョ』(原題:Una storia senza nome)  1月17日(金)エビスガーデンシネマ他。
1969年にイタリアで実際に起きた未解決絵画盗難事件の謎に迫るサスペンス、監督は「ローマに消えた男」のロベルト・アンドー。
脚本家のアレッサンドロに、謎の男から、カラヴァッジョの名画「キリスト降誕」盗難事件を映画化しないかと勧められる。男の助言によりプロットをまとめたアレッサンドロは、マフィアによって誘拐され、昏睡状態で発見される。
『盗まれたカラヴァッジョ』日本語オフィシャルサイト

DVD 『ゴールデン・リバー』 鑑賞/雑感

2019年12月26日 07:27

「真夜中のピアニスト」のフランスの監督ジャック・オーディアールが手がけたフランス産の英語による西部劇(ややこしい)、『ゴールデン・リバー』(原題:The Sisters Brothers)。

原作は創元推理文庫から邦訳も出ているパトリック・デウィットの「シスターズ・ブラザーズ」で日本でも2013年から2014年にミステリーのベストテンに入っているウェスタンとサスペンスの融合作品。

ちと原題の設定に戸惑うが"シスターズ・ブラザーズ"は"姉妹・兄弟"ではなく主役の兄弟の兄のイーライ、弟のチャーリーの姓で、シスターズ兄弟となる。
兄役がジョン・C・ライリー、弟役をホアキン・フェニックスが演じている。

1860年代のゴールドラッシュに沸くアメリカ南部が舞台ではあるが、従来の西部劇のイメージとは全く違った展開になる意外な物語で西部劇らしさは薄く、そこら辺りを期待すると面食らう作品だ。…主役の二人に期待して鑑賞しても同様だろう。

兄弟の職業は殺し屋で、西部劇の衣を纏ったハードボイルド・ミステリー。兄弟は政府の依頼で、二人の男を追い、物語はこの二人と兄弟を交互に描いていく。
アクションシーンも少なく、序盤やや話が見えず、退屈ではあるが、後半じっくりと面白くなる。

結局は兄弟が成長して失ったものの話である。ラスト、兄弟が母親の元に帰った時のショットの積み重ねが、なかなかいい。

…ホアキン・フェニックスはこの作品の後に「ジョーカー」にキャスティングされている。
『ゴールデン・リバー』日本語オフィシャルサイト

VOD 『ザ・バニシング -消失-』 鑑賞/雑感

2019年12月23日 07:33

製作されたのが30年前、それが今年4月に劇場公開され、今月、Blu-ray&DVDが発売されたが、レンタルで出廻るのは来年の1月8日らしい。…但し、既に一部VOD(ビデオ・オン・デマンド) には出ていたので鑑賞、『ザ・バニシング -消失-』(原題:Spoorloos)。

今年の劇場公開では、スタンリー・キューブリックが「これまで観たすべての映画の中で最も恐ろしい映画だ」と言った今更感の発言が宣伝文句に使われていて、この事は過去にも本ブログで触れたが、この作品を撮ったジョルジュ・シュルイツァー自身がハリウッドでリメイクした「失踪」の感想内でも書いているので参照されたい。

…で、ようやく本編のオランダ・フランス合作の1988年製作版を鑑賞する事が出来たのだが、結論から言うと、リメイク版の「失踪」よりは良く出来ていて、そこそこサスペンス感もあり楽しめはしたが、30年前に観ていたらなぁ、という時代の流れを痛感する出来だった。

失踪した彼女が、どうなったかや、犯人の動機の解明等のサスペンスには重きが置かれていず、サイコ・キラーでありながら、冷静沈着な犯人と、突然消えた恋人を捜す執念で、それに費やした3年の月日に次第に、精神的に追い詰められ、蝕まれていく男の姿を対比させ、悪が善に勝利するという結末を、怖いと感じるか否かで、この作品の感想は変わってくる。

『ザ・バニシング -消失-』日本語オフィシャルサイト


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