オン・デマンド 『高い城の男』 鑑賞/雑感

2017年06月17日 00:03

フィリップ・K・ディック原作の長編大作、初の映像化である、『高い城の男』シーズン1(原題:The Man in the High Castle)。製作総指揮リドリー・スコットによるTVドラマシリーズで、米国では昨年秋から配信され、現在はシーズン2まで放映済みだが、日本では Amazonプライムが配信中。

原作はヒューゴー賞を受賞し、日本ではハヤカワから邦訳が出ている作品で、第二次世界大戦でナチス・ドイツと日本が勝利し、アメリカが東西に分断されている世界が舞台の"歴史改変SF"で、発表されたのは55年前である。当方は初期の川口正吉ではなく浅倉久志訳版を30年ほど前に読んではいるが、もはやウロ憶えで部分的にしか憶えていない。

映像化のニュースが入った時は、これは観るぞ、と思ったが、まさか、嫌いなTVドラマシリーズだと知って、どうでも良くなった、…日本での配信もDVD販売も当面なさそうだし。…まぁ、しかし Amazonが配信し、第1話を無料配信してるのを知り、とりあえず、導入部の雰囲気だけでも、と鑑賞。

という訳で、第1話だけ観て感想書くな、と言われるのを承知で書いているので、そこは突っ込まないで頂きたいが、左の映像が出てきた時は不謹慎にも笑ってしまった。

まぁ、日本とドイツにより東西に分断されたアメリカのイメージの映像は興味深く見れたが、それほど深く作り込まれてはいないし、何より人間ドラマの部分が薄く、続けて鑑賞しようという気は起きない。

「高い城の男」なる謎の人物によって執筆され、日本とドイツが敗戦国だった、という"架空"の小説が、ここでは映画フイルムになっているのだが、これではナチが禁書にし、保安警察が取り締まると言う「華氏451度」を思わせる設定が生きてこない。

…それと、せめて日本人同士の日常の会話は日本語にして、テロップで英語入れろや、と思うのは私だけではないと思うが‥。

『高い城の男』amazonプライム配信サイト

DVD『ミッドナイト・スペシャル』鑑賞/雑感

2017年03月09日 08:26

現在、劇場公開されている「ラビング 愛という名前のふたり」の監督ジェフ・ニコルズが、その前に撮った『ミッドナイト・スペシャル』(原題:Midnight Special)、劇場未公開作品。

この監督の以前の作品「MUD マッド」や「テイク・シェルター」等からみると、どんな作品でも撮る監督のようで、「ラビング‥」で、白人と黒人の結婚が禁じられていた時代のラブ・ストーリーを描いて、注目されるようになったが、元々インディーズ系の監督で、「テイク・シェルター」は異常現象の幻想にとり憑かれた男の狂気を描いたスリラーと、…撮る作品の幅が広く、これは超能力を持った少年の逃避行を描いたSFスリラーである。

この監督の常連、マイケル・シャノンが少年の父親役で、その他にキルステン・ダンスト、アダム・ドライバー等が共演。…幼い息子に備わった不思議な力を狙って、カルト教団や政府から追われる身となった親子は、少年の目指す目標にたどり着く為に奔走する。

有り体に言えば、80年代SF映画の雰囲気を再現した低予算作品で、過剰なアクションやCGを抑えて、説明不足で進行する物語なので、何が起こるのかというサスペンス感はあっても、展開の遅さまで一昔前の作品風で、途中退屈する。

致命的なのは、家族の背景に一切説明がなく、ラストも中途半端に放り出した感がある事。…まぁ、80年代SF映画に思い入れがあれば、そこそこ楽しめるかも知れないが‥。

『ミッドナイト・スペシャル』日本語オフィシャルサイト

2017 スーパーボウル ハリウッド映画TVスポット

2017年02月07日 00:00

2月7日にカリフォルニア州サンタクララのリーバイス・スタジアムで開催された第51回スーパーボウル。今年も例によって映画のスポットが乱立するが、その中からいくつかを紹介。
一部、今年年頭に紹介の"2017年公開予定作品ピックアップ"と重複する作品も含まれます(全てYoutubeサイトになります)。

『トランスフォーマー/最後の騎士王』(原題:Transformers: The Last Knight)日本公開:今夏
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(原題:Guardians of the Galaxy Vol.2)日本公開:5月
『ジョン・ウィック2』(原題:JOHN WICK2)キアヌ・リーブス主演の続編
『ゴースト・イン・ザ・シェル』(原題:Ghost in the Shell)日本公開:4月
『ライフ』(原題:LIFE)米公開:5月
『ワイルド・スピード ICE BREAK』(原題:The Fate of the Furious)日本公開:4月
『ベイウォッチ』(原題:Baywatch)TVドラマ劇場版 米公開:5月
『ローガン』(原題:Logan)米公開:3月

2017biggamespot

DVD『 DERAGON ドラゴン 』鑑賞/雑感

2016年09月08日 00:01

「ウォンテッド 」や「リンカーン/秘密の書」を撮り、最近では、来年日本公開が予定されている「ベン・ハー」の監督でもあるティムール・ベクマンベトフが製作にあたり、ハリウッドとロシアのVFXチームが集結したというファンタジー作品。…我が国では劇場公開されずに、DVDのダイレクトリリースとなった、『 DERAGON ドラゴン 』(原題:On-drakon)。

人身御供というのは全世界共通の伝承で、その殆どが怪物の生け贄として乙女(処女)を差し出して、その怒りや災いを鎮めるという習わしで、…本作は昔のロシアの風習を元にドラゴンの生贄に差し出される少女が主人公。

…とは言ってもそれは昔の風習で今は結婚式の儀式に姿を変えていて、生贄の伝説は忘れ去られていたが、公爵の娘が嫁ぐ日に本物のドラゴンが現れ、少女を連れ去ってしまう。…絶海の孤島の洞窟で目覚めた少女の前に現れたのは半裸の青年で、彼はドラゴンの化身だった。

映画はここから、有らぬ(?)方向に曲がり出す、怪物退治のアクションを期待しているとポカーンとなる展開で、オタク女子向けラノベか、はたまた「青い珊瑚礁」か、少女と青年のラブラブな展開に‥。

人身御供の伝承を換骨奪胎、物語は異類婚姻譚にまで行き着く、いやはやこんな話とは思わなかっただけに、見終わって唖然。まぁ、ドラゴンの島の造形も含めて、VFXは、そこそこ見応えあり、悪くない出来なので、良しとするが……、ドラゴンの首って、フロイト的には、あれなので、そこに跨がる少女が妙にエロく見えたのは私だけ?。

『 DERAGON ドラゴン配給会社サイト
『 DERAGON ドラゴン予告編(YouTube/原語版)
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ロアルド・ダールの奇妙な味の短編「南から来た男」

2016年06月23日 00:01

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前回の「BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」の原作となる児童小説も悪くないが、ダールの真骨頂は短編作品にあると思っている。但し短編集として出ている書籍は少ない。その中でハヤカワ・ミステリ文庫から2013年に 新訳版が出た「あなたに似た人」に収録されている『南から来た男』(原題:Man from the South)という傑作がある(画像:左)。

これは余りに有名な作品で、世界傑作短編を選ぶと必ず上位に入ってくる作品なので、御存知の方も多いと思うし、過去に何回か映像化もされているので、ご覧になった方も居られると思う。

『ホテルのプールで若いアメリカ人の男性が南米から来たと思われる初老の男性から賭けの申し出をうける、若いアメリカ人の持っているライターが10回続けて火がつくのであれば、初老の男性は所有するキャデラックを譲り、もし失敗したら男性の左手の小指を貰うと言う‥』

最初の映画化は、1959年のヒッチコック劇場で、現在は"ヒッチコック劇場 第四集 バリューパック"に、「指」の邦題で納められている。
この時の主演がスティーブ・マックイーン、これにピーター・ローレが共演という今では考えられない顔合わせの作品となっている(画像:中)。

さらに 1985年の新・ヒッチコック劇場でも再度取り上げられ、この時はカラー化され、ジョン・ヒューストン、メラニー・グリフィス、キム・ノヴァク等が出演している(DVD「新・ヒッチコック劇場5」に収録/画像:右)。

また「Tales of the Unexpected」なる英国のTV番組でも、1時間番組として製作されている。

そして、1995年にはクエンティン・タランティーノが「フォー・ルームス」(原題:FOUR ROOMS)なる作品で、この原作を映画化、…この作品、タランティーノを先頭に、R・ロドリゲス、A・アンダース等、当時のインディペンデント映画界の鬼才たちが、それぞれ監督を務めた4話からなるオムニバスのコメディ作品なんだが当方は未見で、内容はかなりアレンジされているらしい。

他の三作品は全て観ているが、この内、一番面白いのは、最初のマックイーン版で、僅か30分のモノクローム映像に凝縮されたサスペンス感は現在でも必見。


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