『回転 ヘンリー・ジェイムズ原作』と『ザ・ダークプレイス 覗かれる女』

2017年08月15日 00:06

前回に続けてヘンリー・ジェイムズの「ねじの回転」の映像化二作品を取り上げる。

最初は2009年にイギリスBBCが90分のTVドラマとして製作した作品、正確な邦題は『回転 ヘンリー・ジェイムズ原作 HDマスター』というサブタイトルまでぶっ込んだ、親切なんだか、適当なんだか判らないタイトルになっている(原題:THE TURN OF THE SCREW)。…監督はティム・ファイウェル、主演はミシェル・ドックリー。

ヘンリー・ジェイムズの原作は、発表後に単なる幽霊譚ではなく、女性家庭教師の性的妄想の上に成り立っているという解釈がなされ、前回紹介のジャック・クレイトン版でも、その解釈を元に映像化されているのだが、実際の部分は映画を観た人間の想像に任せている形になっている。

このTV版は、そこを悪魔的な亡霊を登場させてしまう事により、原作の印象を小さくまとめてしまった。

次に紹介するのは『ザ・ダークプレイス 覗かれる女』(原題:In a Dark Place)。

2006年のイギリス・ルクセンブルク合作映画で日本では劇場未公開作品。…監督はドネート・ロテュンノ、主演はキューブリックの「アイズ ワイド シャット」に出ていたリーリー・ソビエスキー。

現代に移された物語になっているが、原作の何を勘違いしたのか、主役のソビエスキーが余りに肉感的で家庭教師には見えず、おまけに監督はこのソビエスキーの入浴シーンを挟んだり、他にも意味なくセクシーなショットを混ぜてみせる。
おまけに原作のメイドに当たる人間を、同性愛志向の女秘書としてキャラクター付けし、彼女のオナニーシーンまで見せている。…一体、何を考えてんだ、この監督。‥

一応、ヘンリー・ジェイムズの原作を元に現代の話にしました、それだけの映像化ではジャック・クレイトン版の出来には追いつけないので、セクシー路線にしました、…って事らしい。
おかげさまで鑑賞後、憶えているのはソビエスキーの胸の大きさだけだった。

ちなみに、1971年に製作されたマイケル・ウィナー監督、マーロン・ブランド主演の『妖精たちの森』は「ねじの回転」の前日譚で、屋敷の家庭教師と下男の倒錯した関係と、二人の逢瀬を目撃した姉弟の悲劇を描いている。

ヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』と映画『回転』

2017年08月12日 00:02

お盆だからという訳ではないが、少々昔のゴシック・ホラーについて書かせていただく。
ヘンリー・ジェイムズというアメリカ生まれだが英国で活躍した小説家が、1898年に発表した中編小説に『ねじの回転』という作品がある。

ゴシック・ホラーの形式をとっているが心理小説の名作として名高い。日本では何度も各出版社から、色々な方の訳で出ているが、何せ古い幽霊譚なので、お勧めはしないが、ゴシック・ロマン系がお好きで未読の方は一度読んでおいて損は無い。

この原作を「年上の女」や「華麗なるギャツビー」を撮ったジャック・クレイトンが1961年に、デボラ・カー主演で映画化していたのが、『回転』(原題:The Innocents)という作品になる。

主人公の女性が田舎町の古い屋敷で家庭教師に雇われるが、その屋敷には、前任の家庭教師と下男が死に、二人が幼い兄妹に取り憑いた幽霊が存在した。

これ、脚色を担当したのが「冷血」のトルーマン・カポーティで、単なるホラー映画にせず、実に見事なゴシック・ホラーの名作に仕上がっている。

未見の方の為に詳細は省きたいが、死んだ男女と、一見可愛いが、ませた幼い兄妹、現在の映画表現でも、何処まで表現出来るか、という内容なので、当然、50年以上前の作品では抑えてあるが、幽霊譚の真実面はエロティック・サイコロジカル・スリラーでもある。

デボラ・カーが広大で薄暗い屋敷の中を蝋燭を4本ともした燭台を持って歩き回るシーンは、現在のホラー映画も顔負けの、怖さと美しさに溢れていて、彼女が徐々に壊れていくのが、その怖さを倍加させている演出が巧い。

二人の子供達の演技も賞賛ものだが、少女役を演じていたのがパメラ・フランクリン。…のちに「ヘルハウス」で女霊媒師役を演じている、

このヘンリー・ジェイムズの『ねじの回転』は後年、再映画化もされ、BBCがTVドラマ化もしている。それについては次回で触れる。

オン・デマンド 『高い城の男』 鑑賞/雑感

2017年06月17日 00:03

フィリップ・K・ディック原作の長編大作、初の映像化である、『高い城の男』シーズン1(原題:The Man in the High Castle)。製作総指揮リドリー・スコットによるTVドラマシリーズで、米国では昨年秋から配信され、現在はシーズン2まで放映済みだが、日本では Amazonプライムが配信中。

原作はヒューゴー賞を受賞し、日本ではハヤカワから邦訳が出ている作品で、第二次世界大戦でナチス・ドイツと日本が勝利し、アメリカが東西に分断されている世界が舞台の"歴史改変SF"で、発表されたのは55年前である。当方は初期の川口正吉ではなく浅倉久志訳版を30年ほど前に読んではいるが、もはやウロ憶えで部分的にしか憶えていない。

映像化のニュースが入った時は、これは観るぞ、と思ったが、まさか、嫌いなTVドラマシリーズだと知って、どうでも良くなった、…日本での配信もDVD販売も当面なさそうだし。…まぁ、しかし Amazonが配信し、第1話を無料配信してるのを知り、とりあえず、導入部の雰囲気だけでも、と鑑賞。

という訳で、第1話だけ観て感想書くな、と言われるのを承知で書いているので、そこは突っ込まないで頂きたいが、左の映像が出てきた時は不謹慎にも笑ってしまった。

まぁ、日本とドイツにより東西に分断されたアメリカのイメージの映像は興味深く見れたが、それほど深く作り込まれてはいないし、何より人間ドラマの部分が薄く、続けて鑑賞しようという気は起きない。

「高い城の男」なる謎の人物によって執筆され、日本とドイツが敗戦国だった、という"架空"の小説が、ここでは映画フイルムになっているのだが、これではナチが禁書にし、保安警察が取り締まると言う「華氏451度」を思わせる設定が生きてこない。

…それと、せめて日本人同士の日常の会話は日本語にして、テロップで英語入れろや、と思うのは私だけではないと思うが‥。

『高い城の男』amazonプライム配信サイト

DVD『ミッドナイト・スペシャル』鑑賞/雑感

2017年03月09日 08:26

現在、劇場公開されている「ラビング 愛という名前のふたり」の監督ジェフ・ニコルズが、その前に撮った『ミッドナイト・スペシャル』(原題:Midnight Special)、劇場未公開作品。

この監督の以前の作品「MUD マッド」や「テイク・シェルター」等からみると、どんな作品でも撮る監督のようで、「ラビング‥」で、白人と黒人の結婚が禁じられていた時代のラブ・ストーリーを描いて、注目されるようになったが、元々インディーズ系の監督で、「テイク・シェルター」は異常現象の幻想にとり憑かれた男の狂気を描いたスリラーと、…撮る作品の幅が広く、これは超能力を持った少年の逃避行を描いたSFスリラーである。

この監督の常連、マイケル・シャノンが少年の父親役で、その他にキルステン・ダンスト、アダム・ドライバー等が共演。…幼い息子に備わった不思議な力を狙って、カルト教団や政府から追われる身となった親子は、少年の目指す目標にたどり着く為に奔走する。

有り体に言えば、80年代SF映画の雰囲気を再現した低予算作品で、過剰なアクションやCGを抑えて、説明不足で進行する物語なので、何が起こるのかというサスペンス感はあっても、展開の遅さまで一昔前の作品風で、途中退屈する。

致命的なのは、家族の背景に一切説明がなく、ラストも中途半端に放り出した感がある事。…まぁ、80年代SF映画に思い入れがあれば、そこそこ楽しめるかも知れないが‥。

『ミッドナイト・スペシャル』日本語オフィシャルサイト

2017 スーパーボウル ハリウッド映画TVスポット

2017年02月07日 00:00

2月7日にカリフォルニア州サンタクララのリーバイス・スタジアムで開催された第51回スーパーボウル。今年も例によって映画のスポットが乱立するが、その中からいくつかを紹介。
一部、今年年頭に紹介の"2017年公開予定作品ピックアップ"と重複する作品も含まれます(全てYoutubeサイトになります)。

『トランスフォーマー/最後の騎士王』(原題:Transformers: The Last Knight)日本公開:今夏
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(原題:Guardians of the Galaxy Vol.2)日本公開:5月
『ジョン・ウィック2』(原題:JOHN WICK2)キアヌ・リーブス主演の続編
『ゴースト・イン・ザ・シェル』(原題:Ghost in the Shell)日本公開:4月
『ライフ』(原題:LIFE)米公開:5月
『ワイルド・スピード ICE BREAK』(原題:The Fate of the Furious)日本公開:4月
『ベイウォッチ』(原題:Baywatch)TVドラマ劇場版 米公開:5月
『ローガン』(原題:Logan)米公開:3月

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