DVD『スティーブ・ジョブズ』感想/雑感

2016年07月19日 00:01

『スティーブ・ジョブズ』(原題:Steve Jobs)。
スティーブ・ジョブズを映画化した作品って、ドラマ化やドキュメンタリー等、幾つか有るが、今まで一度も観ていない、このダニー・ボイル監督版が初めてである。

まぁ、マイケル・ファスベンダーのジョブズって、どんなもんかな的な興味に、監督がダニー・ボイルで、脚本が結構好きな「ソーシャル・ネットワーク」のアーロン・ソーキンと揃っていれば矢張り観る事になる。

スティーブ・ジョブズって、そのカリスマ性は認めるが、巷間騒がれる程のシンパシーは、個人的には感じていない。…どちらかと言えば、もう一人のスティーブ、"スティーブ・ウォズニアック"の方が好きで「アップルを創った怪物―もうひとりの創業者、ウォズニアック自伝」なんかは読んでいる。…まぁ、マネジメント側の人間より、技術畑のテクノロジー人間の方が好きだと言う、個人の趣味なんだが...。

で、この映画はもう、アーロン・ソーキンの脚本の巧さで成り立っている作品で、そう来たか、と感心する構成になっている。
いわゆるジョブズの天才と言われる部分を描いた伝記映画を期待して鑑賞すると、アプローチの違いに面食らうかも知れない。

映画は3部構成で、1984年のMacintosh、88年のNeXT Cube、98年のiMac の3つの新作発表会が始まる前の舞台裏のドラマを見せる、…その総てが「ソーシャル・ネットワーク」を思い起こさせる会話劇で成り立ち、ダニー・ボイル監督らしい映像と音響の挟み方が凝った演出で進行する。

ある程度、3部の時代のバックグラウンドを知らないと、置いてきぼりになる作品ではあるけど、それぞれの時代の機器を知っている人間には、興味深く、印象に残る作品である。

『スティーブ・ジョブズ』日本語オフィシャルサイト

DVD『白い沈黙』鑑賞/雑感

2016年04月16日 08:38

『白い沈黙』(原題:The Captive)、2014年のカナダ製作のサスペンスミステリー。監督は「デビルズ・ノット」のアトム・エゴヤン、主人公を演じるのはライアン・レイノルズ。共演が、「デビルズ・ノット」のミレイユ・イーノス、「トランス」のロザリオ・ドーソン等。

愛する娘と帰宅途中に、いつものダイナーへと立ち寄った主人公が、ほんの数分目を離した隙に娘が忽然と姿を消した。警察に連絡するも、警察は父親に疑惑の目を向ける。
それから8年後、娘の生存を匂わす数々の手がかりが浮上し、思いも寄らない事件の謎が徐々に明かになっていく…。

物語は冒頭から、時間軸をシャッフルさせながら進行するので、前後の繋がりが判りずらい感がある。観客は頭の中で、徐々に順番を入れ替えながら納得して行くと言う、この監督のお得意の手法なのだが、この編集方法は、今回、上手く作用しているとは言い難い。…構成がサスペンス感を削いでいて、惑わされている、としか思えない。

犯人捜しのミステリーではないので、内容に触れるが、誘拐を行う犯罪組織の実態の説明が一切無く、加えて誘拐された少女の心理描写も描かれず、観ていてイライラさせられる事夥しい。
アトム・エゴヤンとしては、過去の「エキゾチカ」や「スウィート ヒアアフター」等と比べると、明らかに構成で失敗している作品。

…鑑賞中は最近日本で有った監禁事件を想起してしまい、鑑賞のタイミングが良かったのか、悪かったのか、複雑な気分であった。

『白い沈黙』日本語オフィシャルサイト

DVD『ブラックハット』鑑賞/雑感

2015年10月17日 00:01

クリス・ヘムズワース主演で、「ヒート」「コラテラル」のマイケル・マン監督が撮ったサスペンスアクション作品、『ブラックハット』(原題:Blackhat)。

香港の原子炉が、何者かのネットワーク不法侵入で爆破され、さらにアメリカの金融市場も被害を受け、アメリカと中国の共同捜査チームが、獄中の天才プログラマーであり、凄腕のハッカーでもある主人公に協力を要請する、…という実によくあるパターンで始まる物語。

冒頭のストーリーだけを聞けば、面白そうに感じるが、ハッキングの頭脳戦の面白さとか、敵の正体不明な存在を追い詰める緊張感とか、まるで無く、中盤までの時間がダラダラと無駄に長い。

後半、捜査チームが犯人を追いかけ、シカゴから香港、マレーシア、ジャカルタを駆け巡る展開になって、ようやくマイケル・マンらしい職人技が顔を見せるが、アクション、銃撃戦とも、嘗てのキレは無い。
何せ、どうでもいいような恋愛を絡め、ご都合主義で展開。…クリス(マイティ・ソー)ヘムズワースが、天才プログラマーに絶対見えない、というのはご愛敬としても、プロ並みの格闘技を披露するに至っては、もう笑うしかありません。

CGで構成されたネットへの侵入イメージの映像も、新鮮味は皆無。…唯一、見所はマイケル・マンお得意の夜景描写と、後半、登場人物が次々と殺されるシーンのみ。お暇な時にご覧ください。

『ブラックハット』日本語オフィシャルサイト

オンデマンド『ゴーン・ガール』鑑賞/雑感

2015年03月19日 00:02

『ゴーン・ガール』鑑(原題:Gone Girl)、ギリアン・フリンの原作をデビッド・フィンチャーが映画化し、昨年末に劇場公開され、ベン・アフレックとロザムンド・パイクが主演した話題作。ブルーレイ&DVDの発売は来月4月3日だが、オンデマンドでの配信が、それより早く始まっている。

冒頭、ミズーリの田舎町が、エドワード・ホッパーを思わせるタッチで映し出される。
幸福な夫婦生活を送っていたニックとエイミー夫妻、しかし、結婚5周年の記念日に妻のエイミーが失踪する。キッチンに残った血痕から、夫が疑われ、メディアが事件を取り上げ始める。
フィンチャー監督作への期待が膨らむが、2時間半長尺の前半は、やや盛り上がりに欠け退屈だ。

但し、中盤の展開から、怒濤の面白さが炸裂し、この話、一体何処へ着地するのかと半端ないサスペンス感が横溢、後半は至福の映画体験が待っている。
ネタばれ出来ないので、詳しくは書けない(…と言っても、大きなドンデン返しのオチが控えている訳でもない)が、ある意味、ホラー以上に怖いエンディングが待っているサスペンス・ミステリーでもある。

ベン・アフレックは可も不可もない、いつものベン・アフレックだが、ロザムンド・パイクは、幾多の映画賞で主演女優賞を獲得しているのが納得の演技で、鑑賞中は、ヒッチコック作品に登場する女優を観ている気になる。

そのロザムンド・パイクが、最後に告げる「That’s mariage.」に、鑑賞した既婚男性は、震えあがり、女性はほくそ笑む。
‥作中に出てくる物語「完璧なエイミー」のモデルの、完璧な妻の誕生でもある。

テリー・ギリアム監督の新作『ザ・ゼロ・セオレム』

2014年06月21日 00:09

「Dr.パルナサスの鏡」に続くテリー・ギリアム監督の新作の予告編とポスターが発表された、『ザ・ゼロ・セオレム』(原題:The Zero Theorem)。
「未来世紀ブラジル」から「12モンキーズ」へ続くディストピア3部作の完結編という位置付けらしい本作も、予告編を観ると鮮やかな色彩と幻想的な映像に彩られたギリアムの世界が構築されている。

坊主頭のクリストフ・ヴァルツが主演し、マット・デイモンが共演、その他にティルダ・スウィントンやピーター・ストーメアがキャスティングされ、如何にもギリアムっぽい現代社会への批判・皮肉を内包した作品になりそうだ。

主人公は、人生に意味があるのか無いのかを決める"ゼロ・セオレム"(ゼロの定理)を解き明かすための研究に没頭するコンピュータの天才。ある日、彼の研究室にセクシーな女性と、会社経営者の息子が訪問し、彼の研究が乱される事態が発生する。

相変わらず、いかがわしさ全開で突っ走るギリアム節が展開しそうで、公開が楽しみだが、フランスでは今月6月から公開、米国公開は今夏が予定されていて、日本公開の予定も有るらしいが、現時点では公開月は発表されていない。…まぁ一応、公開予定があるので良しとするか。

『The Zero Theorem』オフィシャルサイトはこちら、予告編やTVスポットやインタビュー映像も公開されている
『The Zero Theorem』FaceBookページはこちら
上記ページ中の、スポット映像、主人公の元に現れた謎の女性との幻想シーン、もろギリアムです。


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