DVD 『五日物語 3つの王国と3人の女』 鑑賞/雑感

2018年02月20日 00:02

余り知られてはいないが、イタリアにマッテオ・ガローネという監督がいる。2008年に「ゴモラ」というイタリアの犯罪組織を描いた作品でカンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞している。

その後撮った「リアリティー」という作品でもカンヌ国際映画祭グランプリを受賞しているが、この人が2015年に撮り、2016年に日本公開もされた作品が本作『五日物語 3つの王国と3人の女』(原題:Il racconto dei racconti)である。

バンサン・カッセル、トビー・ジョーンズ、ジョン・C・ライリー等が出演し、17世紀にイタリアで書かれた民話集「ペンタメローネ 五日物語」から三編の物語を元に映像化している。
この原作、後にグリム童話をはじめとする多くのおとぎ話のオリジンとなった世界最初のおとぎ話しとの事で、作品の部類としてはダーク・ファンタジーになる。

まぁ、ビジュアルだけなら、童話を映画化したディズニー映画並なんだが、中身は、かなりグロいし、エロいお伽話展開で、登場人物すべて感情移入出来ない奴らばかり。
‥とは言っても、怪獣怪物の類いが結構登場したり、大道芸の描写や、シュールな場面の連続は、いかにもイタリア映画で、三つの物語が交錯して、人間の狂気と残酷さをしっかり観せてくれる。

但し、登場する女性達は行動的で、男性はクズばかりという、そのまま現代に持ってきても違和感のないお話のカオス感に少々、疲れもする作品ではある。

『五日物語 3つの王国と3人の女』日本語予告編(YouTube)

日本公開予定『The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ』『ザ・シークレットマン』『ダウンサイズ』

2018年02月16日 00:09

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『The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ』(原題:The Beguiled)  2月23日(金)TOHOシネマズ 日本橋他。
「ロスト・イン・トランスレーション」「マリー・アントワネット」のソフィア・コッポラ監督が、クリント・イーストウッド主演作「白い肌の異常な夜」の原作小説を女性視点で映画化し、第70回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞している作品。
ニコール・キッドマン、エル・ファニング、キルスティン・ダンスト、コリン・ファレル等の豪華キャストを揃えている。
『The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ』日本語オフィシャルサイト

『ザ・シークレットマン』(原題: Mark Felt: The Man Who Brought Down the White House)  2月24日(土)新宿バルト9他。
リーアム・ニーソン主演のサスペンスドラマで、「ウォーターゲート事件」の全容と事件を内部告発したFBI副長官の実話を元に映画化した作品。
リドリー・スコットが製作。監督は「パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間」のピーター・ランデスマン。
リーアム・ニーソンはFBI副長官役で、その妻をダイアン・レインが演じている
『ザ・シークレットマン』日本語オフィシャルサイト

『ダウンサイズ』(原題:Downsizing)  3月2日(金)TOHOシネマズ新宿他。
「ファミリー・ツリー」のアレクサンダー・ペイン監督が、マット・デイモンを主演に撮ったコメディドラマ。
人間の身体を縮小する方法が発見され、人口増加による環境、食料問題を解決するために「人類縮小200年計画」が立ち上がる。各国でその計画を選ぶ人々が徐々に増えていき、少しの蓄えでも裕福で幸せな生活が遅れる事に希望を抱き、ダウンサイズを決意した平凡な男に起こる悲喜劇を描く。
『ダウンサイズ』日本語オフィシャルサイト

DVD 『ゴールド金塊の行方』 鑑賞/雑感

2018年02月13日 00:02

マシュー・マコノヒーが実際の事件を元に、製作と主演で映画化した犯罪サスペンス作品、『ゴールド金塊の行方』(原題:Gold)。

監督は「シリアナ」「トラフィック」のスティーブン・ギャガン、共演にエドガー・ラミレスと、「ターミネーター4」や「ジュラシック・ワールド」に出ていたブライス・ダラス・ハワード等が出演。

鉱山事業に失敗、破産に追い込まれた金鉱採掘者のケニー・ウェルズが、謎めいた地質学者と組んで、インドネシアの山奥で金脈探しを開始する話しを発端に、巨大金脈を発見し、一攫千金の夢を成し遂げ、一躍時の人となるが‥という展開から顛末までを描いてみせる。

これが結構、面白いし。何よりもマシュー・マコノヒーの演技をみてるだけで楽しめる。‥「リンカーン弁護士」や「ダラス・バイヤーズクラブ」あたりから、個人的に注目していて、マイクル・コナリーの"刑事弁護士 ミッキー・ハラー シリーズ"が原作となる「リンカーン弁護士」は他の話しも映画化して欲しい、と思っている。

そのマコノヒーが、今回は禿げ上がった頭髪、突き出た腹というキャラで、やたらブリーフ1枚で動き回って、ブヨブヨな肉体をさらけ出すが、実は結構ロマンチストという役どころを、見事に演じていて、この作品の見所の一つとなっている。

日本版ポスターにある「なぜ、170億ドルの金塊が一晩で消えたのか…」は、犯罪映画のトリックを描いているようで誤解を招きかねないが、チト言わんとする意味が違う。
まぁ、確かに逆転のエンディングがあり、ドンデン返しと言えなくもないが、「あっ」と言うよりは思わず、ニヤリとさせる終わり方になっている。

『ゴールド金塊の行方』日本語オフィシャルサイト

DVD 『セールスマン』 鑑賞/雑感

2018年02月09日 00:14

2016年のイランとフランスの合作映画、アーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」の舞台に出演している役者の夫婦のサスペンスドラマで、第69回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で男優賞と脚本賞を受賞、第89回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞している作品、『セールスマン』(原題:Forushande)。

小さな劇団に所属し、戯曲「セールスマンの死」の舞台に出演している役者の夫婦が。ある日移転したばかりの自宅で妻が何者かに襲われる。事件を表沙汰にしたくないと警察への通報を拒否する妻の態度に納得できない夫は、自分自身で決着をつけるべく独自に犯人を探し始める。

監督はアスガー・ファルハディ、「別離」とか「ある過去の行方」とかが公開されているが未見。‥題名は地味だし、馴染みの無いイラン映画とあって敬遠しそうな作品だが、結構、じわじわと引き込まれる。
但し、サスペンス感は薄く、どちらかというとヘビーで重苦しく、救いの無い話しなので、観ていてキツい。

イランのという国の女性の位置の事情が、詳しく判らないし、映画は結局、妻に何があったのかを明示しないのと、未だ何かあるだろう的な終わり方と、だれの行動が最善なのかも示さない演出等、全てが暗く、哀しく、救いようない物語だ。

結局、万人に勧められる作品とは言い難いが、カンヌでの男優賞と脚本賞の受賞は何とか納得出来る映画ではある。

『セールスマン』日本語オフィシャルサイト

オンデマンド『IT/イット"それ"が見えたら、終わり。』 鑑賞/雑感

2018年02月06日 00:01

BD/DVDの発売は今月の21日だが、デジタル先行配信が既に1月24日から始まっている作品、『IT/イット"それ"が見えたら、終わり。』(原題:It)

スティーヴン・キングが1986年に発表した長編ホラーで、日本では1991年に文藝春秋社が上下巻の単行本として発売。当時、熱狂的なキングファンだった当方を存分楽しませてくれた傑作。
アメリカでTVシリーズとして映像化、2回に分けて放映されたと知った時は早く観たかった記憶があるが、のちに日本のTVでも放映され、DVDが発売され鑑賞したら、余りの酷い出来に唖然とした。

あれから20年以上経ち、「MAMA」を撮ったアンディ・ムスキエティが映画化に着手と聞いて、前回の失敗を払拭してくれる事を期待しての鑑賞となった。

原作とは年代を変え、単行本では上巻にあたる1958年の設定を1988年に変更しているが、この登場人物たる6人の少年と一人の少女の設定が実に巧く、原作のイメージ通りで、登場の演出も、不良少年達も含め、如何にもキング作品らしさが出ている。

結果的には少年少女の、ひと夏のホラー体験であり、彼等の成長物語でもある映画で、ホラー色は薄めだが、アンディ・ムスキエティの恐がらせ方の演出が「MAMA」から数段巧くなっていて飽きないし、充分怖い。
ペニーワイズを演じたビル・スカルスガルドは、「ダーク・ナイト」のヒース・レジャーの小型版かよ、のイメージで悪くない。

27年に一度、メイン州デリーを襲う"IT"。‥少年少女が大人から中年になって再度、恐怖と対峙する Chapter2 が早く観たい。

『IT/イット"それ"が見えたら、終わり。』日本語オフィシャルサイト

日本公開予定作品『ロープ 戦場の生命線』『ゆれる人魚』『ウイスキーと2人の花嫁』

2018年02月02日 00:16

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『ロープ 戦場の生命線』(原題:A Perfect Day)  2月10日(土)新宿武蔵野館他。
国際援助活動家を題材にしたスペイン製ヒューマンドラマ。ベニチオ・デル・トロ、ティム・ロビンス、オルガ・キュリレンコ等が出演。ドキュメンタリーも手がけるフェルナンド・レオン・デ・アラノア監督作品。
紛争直後のバルカン半島で、井戸から死体を引き上げるのに使うロープを探す主人公たちが、思わぬ事態に直面する姿を描く。
『ロープ 戦場の生命線』日本語オフィシャルサイト

『ゆれる人魚』(原題:The Lure)  2月10日(土)新宿シネマカリテ他。ポーランドの女性監督アグニェシュカ・スモチンスカの長編デビュー作。世界各国で数々の受賞を果たした「人魚姫」をアレンジした異色ホラー・ダーク・ミュージカル作品。
海から人魚の姉妹が、ナイトクラブにやってくる。ふたりは美貌とワイルドさで一夜にしてスターにのしあがるが‥。、
ギレルモ・デル・トロの「シェイプ・オブ・ウォーター」も3月公開で、人魚・半漁人モノが続く。
『ゆれる人魚』日本語オフィシャルサイト

『ウイスキーと2人の花嫁』(原題:Whisky Galore)  2月17日(土)全国公開。
第2次世界大戦中にスコットランド沖で、大量のウイスキーを載せた貨物船が座礁した実話をもとに映画化作品。
戦況悪化のあおりでウイスキーの配給が止められた島の住民たちが、5万ケースのウイスキーを沈没の危機から救おうと奮闘する姿を描くヒューマン・ドラマ。監督は「グッバイ・モロッコ」のギリーズ・マッキノン。
『ウイスキーと2人の花嫁』日本語オフィシャルサイト

DVD 『怪物はささやく』 鑑賞/雑感

2018年01月30日 00:11

2015年の12月にこちらで紹介した書籍の映画化作品、『怪物はささやく』(原題:A Monster Calls)。
原作はイギリスの作家パトリック・ネスによる世界的ベストセラーで、書籍は全編に、英国のイラストレーター、ジム・ケイのモノクロの挿絵が入ったビジュアル的にも魅力的な一冊。

映画化の監督は「永遠のこどもたち」のJ・A・バヨナ、主演の少年に「PAN ネバーランド、夢のはじまり」のルイス・マクドゥーガル、母親役がフェリシティ・ジョーンズ、祖母役をシガニー・ウィーバーが演じ、怪物の声をリーアム・ニーソンが担当している。

分類としてはダーク・ファンタジーなんだが、気楽に人にお勧め出来ないほど、少年の直面する現実が重く辛いので、そこら辺りが、この作品を楽しめるか、どうかの別れ道。…当方は怪物の造形の巧さと、作中の物語の水彩画的アニメーションが好みだったので、楽しめたが、人には勧めません。

同工異曲の作品と言ってしまうと異論ありまくりだが、ロアルド・ダールの原作をスピルバーグが映画化した「BFG ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」あたりと比較すると、あの脳天気さよりは、はるかに見所は多い。

…なにせ少年の若き母親役が「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」で主演のフェリシティ・ジョーンズだし、祖母役はかってのリプリーだし、モーションキャプチャーで参加しているとは言え、声だけ出演のリーアム・ニーソンが渋い味出してるし‥。

『怪物はささやく』日本語オフィシャルサイト

DVD 『スターシップ9』 鑑賞/雑感

2018年01月26日 08:21

「ヒドゥン・フェイス」とか「ゾンビ・リミット」とかの脚本家だった、アテム・クライチェとかいうスペイン人の長編初監督SF作品。脚本を書いた作品は如何にもB級っぽく、どちらも未見。

今回のこの『スターシップ9』(原題:Orbiter 9)も、何やら「パッセンジャー」に似た雰囲気で、B級SF映画感が横溢で、ちと観るのを躊躇したんだが、「パッセンジャー」をどのくらいパクってるか観てやるか、というつもりで鑑賞。…女優も「パッセンジャー」のジェニファー・ローレンスより、こちらのクララ・ラゴの方が好みだし‥。

女性が一人で、汚染された地球に代わる未知の星に向かう、恒星間飛行の旅を続けていたが、船の給気系統が故障し、救援信号を送るよう船内のコンピュータに依頼、近隣の船からエンジニアの青年がやってくる。

産まれた時からコンピュータに育てられた美女の元に、美男の技師がやってくれば、そりゃぁ、なるようになるよなぁ、という冒頭の設定から始まる物語だが、問題はその後‥。

で、ポスターもパッケージも、巧みにネタばれを避けて作られていたので、冒頭20分あたりの物語の展開に「エッ?」となる、あらま、そういう話しだったの?、と少々唖然。…まぁ,面白いのは、そこら辺までで、その後の展開が、イラつく程スロー。

こういう出だしで、こういう風に引っ繰り返して驚かせてやろう、と考えたまでは良かったが、後の展開が無理矢理且つ適当なもんだから、全体的にしょーもない作品になってしまった。

このラストって、もしかして、森博嗣の「すべてがFになる」のパターンかよ、と思ったら、そのままだった、やれやれ…。

『スターシップ9』日本語オフィシャルサイト

SF小説「全滅領域」と映画『アナイアレイション』

2018年01月23日 00:17

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ジェフ・ヴァンダミアという作家の"サザーン・リサーチ"という三部作のシリーズがあって、「全滅領域」に始まり「監視機構」と続き「世界受容」で完結するSF小説で、これが結構面白い。

地上に突如出現した〈エリアX〉と名付けられた謎の領域、そこでは生態系が異様な変化を遂げ、拡大を続けていた。…その境界に触れた瞬間、あらゆる物体は消滅し、誰も近づけなかったが、ある日、入口が発見され、調査隊が派遣されたが、次々と全滅、11次におよぶ調査隊が派遣されるも、無事に生還できた隊は存在しなかった。

ここに新たに女性だけの調査隊が派遣されるところから物語が始まるのだが、その中の生物学者の女性の一人称で第一部「全滅領域」は始まる(二部三部では、この手法が変わる)。
この生物学者の主人公にナタリー・ポートマンがキャスティングされ、映画化されたのが『アナイアレイション』で、監督が「エクス・マキナ」のアレックス・ガーランドである。

米英合作で今年2月に全米公開され、日本公開も決まっているが(公開日未定)、楽しみな作品だ。…小説と違い一話完結になるらしい。
多少ネタばれになるが、エリアX内の生物は(動植物はおろか人間まで)その一部はコピーである。この複製を作った正体について知りたければ、原作を読むか、映画の公開まで待つしかないが、ラヴクラフトのクトゥルフ神話のような趣きもあるホラー系のSFなので、当方も含め、その手がお好きなら期待していいと思う、

『 Annihilation/アナイアレイション』英語版テスター・トレイラー(YouTube)

2018年公開予定作品ピックアップ -日本公開日未定編

2018年01月19日 00:06

最後は全米公開日は決まっているが日本公開日未定の作品を…。

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『ランペイジ』(原題:RAMPAGE)   全米公開2018年4月。
「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」に続けてドウェイン・ジョンソンが主演し、80年代のアーケード・ゲームを実写映画化した作品。霊長類学者の男性が、親友とも呼べるゴリラを遺伝子実験により巨大化されてしまい、その他のモンスターも登場して街で大暴れする。学者は彼等を救う事ができるのか。
『ランペイジ』英語版オフィシャルサイト

『オーシャンズ8』(原題:Ocean's 8)  全米公開2018年6月。
スティーブン・ソダーバーグが「オーシャンと11人の仲間」を元に製作した「オーシャンズ11」。さらにそこから派生した女性だけで構成したリブート作品で、監督はゲイリー・ロス。サンドラ・ブロック、ケイト・ブランシェット、アン・ハサウェイ等が出演する。
『オーシャンズ8』英語版予告編(YouTube)

『ザ・プレデター』(原題:)  全米公開2018年8月。
1作目から30年後、シリーズとしては6作目になる作品。5作目のロバート・ロドリゲスに変わって監督は「アイアンマン3」のシェーン・ブラック、この人、1作目で木に逆さ吊りにされる通信兵役を演じていた俳優。
◎日本版オフィシャル・サイト(予告編)未だ無し。

『ミッション:インポッシブル6』(原題:MISSION: IMPOSSIBLE 6)  ;全米公開2018年7月。
トム・クルーズが撮影中のアクション・シーンで骨折し、撮影が中断されていた作品。監督はクリストファー・マッカリー、共演陣はサイモン・ペッグ、レベッカ・ファーガソン、ショーン・ハリス、ヘンリー・カヴィル等で、「M:i:III」に出ていたミシェル・モナハンが再びイーサン・ハントの妻役で出演する。
◎ポスター及びオフィシャル・サイト英語版日本版とも未だ無し。


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